@misc{oai:maebashi-it.repo.nii.ac.jp:00000427, author = {ササキ, ケイスケ and 佐々木, 圭輔}, month = {2022-04-25}, note = {医療機器の操作・管理を担当する臨床工学技士は,脳外科手術や整形外科手術において術中神経モニタリングと呼ばれる業務を担当する.この業務は術中に脳神経機能をモニタすることによって,神経損傷を回避したり脳神経を同定したりする目的で実施される.術中神経モニタリングの主なものに,運動誘発電位(MEP),体性感覚誘発電位(SEP),聴性脳幹反応(ABR)などがある.その中でもMEPで得られる波形は手術操作以外の様々な要因によって変動する.同一条件下で導出したMEP でも振幅が不安定で変動することが報告されており,偽陽性を生じる原因となっている.そのために神経機能の評価がばらつき,患者の予後に影響を及ぼしている.しかし,この問題を解決する有効なガイドラインや規定などは未だ策定されておらず,各施設の判断に委ねられている.そこで,神経機能評価のばらつきの原因となるMEP振幅の変動を抑制できれば,術中合併症の回避に寄与し,手術成績の向上に貢献できると考えた. 術中MEPでの刺激方法として電気刺激が用いられるが,全身麻酔下で実施されるため患者は苦痛を感じない.本研究において覚醒下の被験者で検証するにあたり,電気刺激を用いることは苦痛を与えるため適さない.そこで,リハビリテーションやうつ病治療などに適用がある経頭蓋磁気刺激(TMS)は,コイルによる磁気刺激のため低侵襲かつ安全性が高く覚醒下での使用に適すること,また大脳皮質一次運動野(M1)へTMSを与えると,末梢筋からMEPを誘発することができることから,本研究の刺激方法としてTMSを採用した.刺激部位がM1であることから刺激直前の脳電位の状態に着目し,脳電位とMEP振幅の変動との相関についての検証をおこない,術中MEPへの応用につながるMEP変動抑制システムの開発を目的とした(序論). まず,本研究でMEPの変動を検証するTMSシステムの開発をおこなった.等間隔でTMSを与える場合の脳電位の変化によるMEPへの影響を取り除くため,脳電位が特定の状態の時にTMSを与えてMEPを誘発できるシステムを構築した.脳電位の相似性を指標とした脳波コヒーレンス解析を用いて,指定した脳の状態になったタイミングでトリガを送り,TMSが出力されることを確認した(2章). 次に,開発したTMSシステムを使用するにあたり,被験者の開眼・閉眼の違いによるMEPの変動の比較をおこない,システム使用時の被験者の状態を決定した.安静閉眼状態より安静開眼状態でMEPを誘発した場合に,測定条件が定常化されることでMEP振幅の変動が抑制されることを確認した(3章). 安静開眼状態で,TMSシステムを用いたランダム間隔の刺激によりMEPを誘発させ,得られたデータからMEPの変動抑制に寄与する刺激時の条件を調査した.その結果,安静開眼状態で誘発されたMEP振幅の変動はトリガ閾値を厳しくすると抑制されやすく,コヒーレンス値の高さが関与する可能性を示した(4章). 実際にTMSシステムをオンラインで用いて,MEP振幅の変動抑制に有用であるか否かを検証した.安静開眼状態で検証した結果,トリガ閾値であるコヒーレンスについてα波を低値かつβ波を高値に設定した場合に,MEP振幅の変動が減少傾向を示した(5章). しかし,トリガ閾値次第では測定時間が長くなるため,被験者の状態の変化などにより得られるMEPデータの精度が低下している可能性が考えられた.そこで,TMSシステムにトリガ閾値を自動変更できる機能を追加したフィードバック型TMSシステムをオンラインで用いて,MEP振幅の変動抑制に有用であるか否かを検証した.その結果,安静開眼状態でβ波のコヒーレンスを高値に設定した場合に,各刺激に要する実験時間を制御し,かつMEP振幅の変動を抑制するシステムとしての有用性を示した.術中MEPへの応用を想定した場合,本システムは測定時間の非効率な延長を避けることで被験者の状態を安定させ,かつMEP振幅の変動を抑制し,神経機能評価の精度向上に寄与しうる(6章).}, title = {運動誘発電位変動抑制のための脳波コヒーレンス解析を用いた経頭蓋磁気刺激システムに関する基礎的検討}, year = {} }